翻訳って奥が深いんだな

いきなりですが次の文章を日本語に訳してみてください。

Going up a mountain track, I felt to thinking. Approach everything rationally, and you become harsh. Pole along in the stream of emotiones, and you will be swept away by the current. Give free rein to your desires, and you become uncomfortably confined. It is not a very agreeable place to live, this world of ours.

 

どうでしょうか?うまく訳せましたか?これはある日本文学作品一部分の翻訳なんですが、誰の作品かわかりましたか?

正解は・・・

 

夏目漱石の『草枕』の冒頭の部分です。訳者はAlan Turneyで、タイトルはThe Three-Cornered Woldと訳しています。タイトルは原文の

して見ると四角な世界から常識と名のつく、一角を摩滅して、三角のうちに住むのを芸術家と呼んでもよかろう。

を参考にしたそうです。

さて上の文章ですが、原文は以下のとおりです。

山路を登りながら、こう考えた。知に働けば角が立つ。情に掉させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角人の世は住みにくい。

この原文をTurneyは見事な英文で訳しました。英語、日本語と相当言葉に精通してないとできません。もうずっーと感心しっぱなしです。

ほんと言葉のセンスがうらやましい・・・

もしこの英文が外国人作家のオリジナルだとしたら、漱石はどう日本語に訳しただろう?やっぱり上のような見事な日本語に訳したのだろうか?まあ漱石だし、当然か(笑)。

ある言語を別の言語に言い換える作業ってある意味創作だし、しかも原文という制限があるなかで行われないといけないから、並みの作家以上に語学力が問われるものなのかもしれないですね。

それはそうと日本の文学作品が海外でどのように訳されているのかを知るのは色んな発見があってすごい面白いですよ。ぜひ読んでみてください。

最後に英文の語彙です。

rationally  合理的に⇔irrationally

harsh  ⑴(状況・気候などが)厳しい、過酷な ⑵(味、音、色、光など)不快な、きつすぎる ⑶(批判・態度など)厳しい、残酷な

pole (船、いかだ)をさおで進める

sweep A away  ⑴Aを完全に破壊する、(感情を)すっかり拭いさる

current  ⑴流れ、流動、潮流、風潮

give A free[full] rein to ⑴人がAに好きなように仕事をさせる                  ⑵人がA(感情、才能)を自由に表現する